1級 · 読解 · 第38回
コモンズ再考 ― 悲観論に挑むオストロム
この回の内容
1級 · 読解 · 第38回
「ハーディンの寓話 → 私有化か国家統制かの処方 → オストロムの実証 → 設計原理 → 前提の狭さの露呈」の運びです。
設計原理という具体
オストロムが見出したのは偶然ではなく identifiable design principles ━ 明確な境界(誰が使えるか)、地域条件に合わせた規則、段階的な制裁、利用しやすい紛争解決、そして利用者自身が規則を作る権利。
監視は上下ではなく相互的である点も重要です(reciprocal and mutual rather than hierarchical)。
反駁ではなく前提の露呈
Ostrom's intervention did not so much refute Hardin as expose the parochialism of his premises.(反駁したというより前提の狭さを露呈させた)。
ハーディンは意思疎通も拘束力ある取り決めも制裁もできない原子化した他人を想定しており、それは真のコモンズではなく open-access free-for-all の記述でした。
ただし楽観も戒めます ━ 自治は規模・信頼・略奪的外部者の不在に依存して fragile です。
つまずきやすい所
○ 自治は脆く条件依存だと戒めている
✗ オストロムはコモンズが常にうまくいくと示した
counsels against facile optimism。
○ 前提(匿名・意思疎通不能)が狭かった
✗ ハーディンの論理は誤りだった
did not so much refute … as expose。
○ その二分法自体が誤り
✗ 解決策は私有化か国家管理の二択である
a false and impoverishing dichotomy。
具体的な設計原理と「前提を突く」論法。二分法の否定が結論です。