1級 · 読解 · 第51回
うそつきの配当 ― 見ても信じられない時代
この回の内容
1級 · 読解 · 第51回
「映像の証拠特権 → 崩壊 → 偽物より重い二次被害 → 嘘つきの配当 → 損なわれるのは認識能力」の運びです。
症状と病を分ける
通常の警鐘は偽造物そのもの(改竄演説・捏造自白)に向きますが、Yet this fixation … mistakes the symptom for the disease.(その固執は症状を病と取り違えている)。
より重いのは、公衆が「どの映像も合成かもしれない」と内面化した瞬間に 立証責任が反転する ことです。
真正性が既定でなくなり、証明は骨が折れ、しかも決定的になりにくい。
二重に得をする構造
操作が可能だと知られた瞬間、本当に有罪の者は「あれは捏造だ」と退けられます。
Thus the technology rewards the dishonest twice over: once by enabling forgery, and again by lending credence to their disavowals.(偽造を可能にすることで一度、否認に信憑性を与えることでもう一度)。
最終的な被害は情報ではなく 認識能力 ━ 目撃したものについて合意できない市民は熟議できず、rival certainties へ分裂します。
つまずきやすい所
○ 立証責任の反転と「嘘つきの配当」の方が重い
✗ 最大の問題は偽動画に騙されることだ
mistakes the symptom for the disease。
○ 必要だが、失われた信頼の回復は難しい
✗ 技術的な認証で問題は解決する
technical remedies alone cannot resurrect。
○ 競合する主張を裁定する能力そのものが萎える
✗ 被害は特定の事実が歪むことにある
our collective capacity to adjudicate。
偽物そのものより、真正性の既定が失われる二次被害。ここが主旨です。