1級 · 読解 · 第90回
憧れの復権
この回の内容
1級 · 読解 · 第90回
「病理とされた歴史 → 全面的な覆り → 機構(ほろ苦さ)→ 前進を支える → より広い戒め」の運びです。
病から自己調整へ
1688年にスイスの医師が傭兵のホームシックを指すために造語し、消耗性の疾患とされ、20世紀に入っても精神分析は「失った対象を手放せない退行症状」と見なしました。
Contemporary psychology has overturned this verdict comprehensively.(現代心理学はこの評決を全面的に覆した)━ ノスタルジアは洗練された心理的自己調整の形式です。
誤読された「ほろ苦さ」
The mechanism is subtle, and herein lies the irony that confounded earlier observers.(機構は微妙で、ここに旧来の観察者を惑わせた皮肉がある)━ 初期の理論家が病的さと取り違えた 切なさそのもの が、慰めの力の源です。
さらに it does not paralyse forward motion but underwrites it(前進を麻痺させるどころか、それを支える)。
結びの戒めは The reflexive equation of psychological comfort with weakness … has too often led clinicians to disparage the ordinary resources by which people steady themselves。
つまずきやすい所
○ 自己が脅かされたときの内的な是正装置
✗ ノスタルジアは過去への逃避である
an internal corrective。
○ 慰めの力の源そのもの
✗ ほろ苦さは病的さの徴候
precisely what lends … consolatory power。
○ 前進の足場を与える
✗ 回想は前進の妨げになる
does not paralyse … but underwrites it。
評価の反転と、誤読されていた特徴が実は効能だった構造が主旨です。