1級 · 読解 · 第9回
国境なき味覚 ― 食のグローバル化が抱える逆説
この回の内容
1級 · 読解 · 第9回
「一見多様 → 実は基盤が痩せた → authenticity は上演される → 純粋さへの郷愁も誤り → 問題は誰が儲けるか」の運びです。
逆説の構造
Globalization … has simultaneously dispersed and impoverished it(同時に拡散させ、痩せさせた)。
皿の上の多様性は畑の消耗を覆い隠す(Diversity on the plate … conceals an attrition in the field)。
authenticity は市場が fetishizes and corrodes(偶像化しつつ腐食させる) もので、料理が移動すれば必ず現地化(indigenization)される、と述べます。
郷愁批判への再批判
純粋さの喪失を嘆く議論には condescension(見下し)の危険があり、静的で純粋な起源など歴史はほとんど保証しない(トマトは16世紀の地中海への闖入者)。
現代を分けるのは交換の事実ではなく velocity and asymmetry(速度と非対称)。
結論は To mourn the loss of purity is to mistake the symptom(純粋さの喪失を嘆くのは症状の取り違え)で、問うべきは誰が儲け、誰の知が収奪されるかです。
つまずきやすい所
○ 郷愁的な嘆きこそ症状の取り違えだとする
✗ 筆者は伝統の喪失を嘆いている
mistake the symptom。
○ 皿は多様だが農業基盤は痩せた
✗ グローバル化で食の多様性は純粋に増えた
attrition in the field。
○ それ自体が創造(creole creation)
✗ 現地化された料理は劣化版である
not a corruption but a creole creation。
郷愁批判への再批判まで進む二段構えです。最後の問いの立て直しが主旨です。