1級 · 読解 · 第36回
腸と脳、そして相関という誘惑
この回の内容
1級 · 読解 · 第36回
「周縁から主流へ → 無菌マウスの知見 → 熱狂が証拠を追い越す → 因果の向き → 機構は証明ではない」の運びです。
因果の向きが決まらない
ヒト研究の大半は観察研究で、うつ病患者の細菌叢が対照と異なることは示せても、細菌叢が気分を引き起こすのか、気分の下流の影響を記録しているだけかを裁定できません。
うつ病は食欲・睡眠・活動量を変え、それぞれが腸内生態系を強く作り変えるので、矢印は逆向きかもしれないし双方向かもしれない。
機構の存在は効果の証明ではない
Yet a mechanism, however elegant, is not a proof of effect.(どれほど優美でも機構は効果の証明ではない)。
無作為化比較試験の効果量は modest at best で、厳密な盲検化で消えることも多い。
The field's besetting sin is to mistake the abundance of correlational data for the convergence of causal demonstration.(相関データの豊富さを因果の証明の収束と取り違えること)が、この分野の宿痾だと指摘します。
つまずきやすい所
○ 因果の向きは未決着
✗ 腸内細菌がうつ病の原因だと示された
cannot adjudicate。
○ 機構は効果の証明ではない
✗ 機構が説明できるなら効果は確かだ
not a proof of effect。
○ 効果量は小さく、盲検化で消えることも多い
✗ プロバイオティクスの効果は臨床試験で確認された
modest at best。
相関・機構・効果の3つを分けて評価する訓練になる文章です。